ちょっと早過ぎた越生梅林と由来の梅園神社にある極相林のスダジイ林
越生町といえば越生梅林が有名ですが、水戸偕楽園、熱海梅園とともに関東三大梅林の一つとされています。
約2ヘクタールの広さがあり、埼玉県指定名勝にもなっており、1000本もの梅の木が植えられています。

令和4年は2月11日から3月21日には梅まつりも開催されますが、来るのが1月とちょっと早過ぎたようです。
でも何でここ越生が梅の名所となったのか、ちょっと疑問でした。

案内板によると、越生の梅は1350年頃、九州の大宰府から小杉天満宮を勧請、分祀した際に、菅原道真公に因んで梅を植えたのが起源であるとのことです。
江戸時代には越生の生梅は特産品として出荷されており、明治時代になると観光地として注目されました。

工事が行われている越辺川の西側に梅林がありますが、対岸に小杉天満宮、現在の梅園神社があります。
小杉天神社となり、明治40年(1907)に堂山の近戸神社、上谷の三島神社などを合祀して梅園神社となりました。

創建年代等は不詳ながら、室町時代初期の観応元年(1350)から江戸時代の嘉永5年(1852)までの社殿の上棟、再建、修理等を記録した28枚の棟札が残されています。
少なくとも、観応の擾乱のあった頃ですから南北朝時代には、天神社と称して祀られていたことがわかります。

そこから、越生梅林の梅もその頃に植えられたのではということのようです。
同様に菅原道真公を祀った天神社は全国に数多くありますから、越生にこれだけ多くの梅が植えられ、やがて名所になっていったというのは興味深いことです。

棟札から、享保元年(1716)再営の流れ造の現在の本殿は、建築年代のわかる神社建造物として越生町で最古だといいます。
↑おそらく右の覆殿の中なのでしょう。
梅園神社のスダジイ林は埼玉県指定天然記念物となっています。

スダジイという音の響きからは、「すだ爺」を連想してしまいましたが、「すだ椎」、椎の木でした。
スダジイが林冠となって極相林となっているとのことです。
何やら意味不明の単語だらけです。

林冠とは、森林で太陽光線を直接受ける高木の枝葉の茂った部分のことで、英語ではキャノピーだと言われると何となく意味がわかります。
極相とは、植物群落が遷移を経て植物全体の種類や構造が安定した状態になっていることをいいます。
地域の自然状況に最も適応した安定状態の森林になっているということのようです。

スダジイが優占する森林は、関東地方では伊豆半島、三浦半島、房総半島などであり埼玉県域ではあまり見られないということです。
クヌギ、ナラなどの薪炭林やスギ、ヒノキなどの人工林が造林される前の、この地域本来の自然植生を知る上で貴重な存在であることから、天然記念物に指定されているということでした。
案内板で勉強して、ようやく理解できました。
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