弘法の三ツ井戸と所沢での昔の火事の消し方、鉄道と東川のボトルネック
東川地下河川の三つの立坑を見てきましたが、最後に行った第3立坑の近くの煙突にちょっと興味を惹かれました。
すっかり数少なくなった銭湯がここにはあり、名前が「弘法の湯」というようです。

東川沿いから一本入った住宅街の方に入り口はありました。
地名は所沢市金山、最寄りの駅は西所沢駅で弘法という名と直接結びつきません。
実は近くに「弘法の三ツ井戸」というものがあり、それに由来しているようです。
弘法の湯では今でも地下水を薪で沸かしているそうです

↑東川沿いに国道463号線のその名も「弘法橋」を渡って目の前に「弘法の三ツ井戸」はあります。
名の由来としては、
夏のある日、民家に立ち寄った僧が一杯の水を所望し、そこで機を織っていた娘は水を汲みに行ったのになかなか戻ってきません。
その訳を尋ねると、この辺りが昔から水に不便で井戸まで遠くて苦労しているといいます。

それを聞いた僧は娘に三つの場所を杖で指し示し、そこに井戸を掘るようにと言い残していきました。
村人達がそこを深くもなく掘ることで、清らかな水がこんこんと湧き出しました。
夏でも涸れることのないその井戸を、村人たちは「三ツ井戸」と呼び、あの僧は弘法大師だという話が広まったということです。
なので、ここには弘法大師を祀る小堂も建っています。

国道沿いにあったのは三つの井戸のうち東端のもので、約50メートル毎にもう二箇所あったといいます。
残りは現存していませんが、川沿いに立つ町会による看板には川の中央部であると書かれています。
現在の川の流路は当時とは変わっているでしょうからやむを得ません。
東川に限らないのですが、橋にはいくつか気になるものがありました。

↑いくつかの簡易な橋が架かっていましたが、この少し上流には通行禁止となっているものありました。
というのも、車も通っていそうだけど大丈夫かなと心配に思われる橋もあるので、これはやはり安全性は確認しているのかと逆に少し安心しました。
さらに少し上流には西武池袋線との交差があります。

二連のボックスカルバートとなっており、それぞれが道路と東川です。
東川は浸水被害を引き起こしている川にしては川幅が狭いなと思っていましたが、一番のボトルネックになっているからでしょうか。
こうして電車が常に走っているところですから、大規模な拡幅工事は難しいのでしょう。
道路の方だって今時珍しい1.8メートルの高さ制限です。

西武新宿線より下流の川沿いには桜並木があったように、西武池袋線から上流にも並木がありました。
先程の井戸の話にもあったように、武蔵野台地の中央部に位置する所沢は、地下水位が深いため、昭和12年(1937)に上水道がひかれるまでは、大変水利の悪いところでした。

近隣の村では「所沢の火事は土で消す」という言葉もあったそうです。
土で消すとはびっくりです。
そんな水の調達に苦労した所沢にあって、大雨による川の増水の心配をしなくてはいけないというのも皮肉なものです。
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