東川開明橋から上流の旧鎌倉街道沿いの寺院とやはり大規模な第3立坑
所沢市の東川地下河川について、排水立坑から第1流入立坑、第2流入立坑と見てきて、そこには地下調節池もあることがわかりました。
上流に、さらにもう一つあるという第3流入立坑も見に行きました。
第2立坑前の開明橋から上流方面を見ると、川幅は下流より少しだけ広いようです。
先の方にはちょっと興味を惹かれる門が見えます。

新光寺の山門で、Googleマップでは「竜宮門」との表示がありました。
確かにイメージは竜宮城にある門です。
東川は新光寺の敷地内では暗渠となっています。
また、新光寺の門前の道は「旧鎌倉街道」です。

↑寺の裏側まで回り、上流側から見ると、本堂と観音堂があります。
寺伝によれば、本尊の観音像は天平年間(729〜749)の行基作であり、新光寺の開基も行基だといいます。
源頼朝が建久4年(1193)、那須野へ向かう途中に田地を寄進し、新田義貞も田地を寄進とのことです。

↑新光寺の先からは再び水面が見られますが、住宅地内の細い水路です。
このすぐ下流には第2立坑や調節池があるとは思えないような川幅です。
少し進むと水門が見えてきます。

第1や第2立坑では流れを調整する止水板という感じでしたが、こちらは正に流れを堰き止める止水板です。
ここに第3流入立坑があるからこそ、あの細い川幅で済んでいるのでしょう。
立坑内径11.5メートル、側壁厚1.1メートル、立坑高29.4メートルあります。

立坑の規模も第1や第2より大きく、敷地も広くとっています。
排水立坑の時にも触れたように、東川地下河川は平成24年度全建賞を河川部門で受賞していますが、理由は次のようになっていました。
地下河川方式を採用したことにより、景観が保たれ、河川改修事業と環境保全の両立が図られたこと。
もう一つ理由があるということです。

用地取得に係る費用が抑えられ約70億円のコスト縮減が図られるとともに、原則自然排水として維持管理コストの縮減も図ったとありました。
地下河川で工事費が高くなっても、河川の拡幅に比べれば用地取得費用は少なくなるのはわかります。
後半がどういう意味かと調べてみました。

雨水が3基の流入立坑から地下河川に貯留され、満杯になると水位差によって自然に排水立坑から地下河川本川に流れるということだそうです。
地下河川内の水位が下がり自然流下が止まった後は、さすがにポンプ設備により排水します。
ちょっと位置関係が分かりづらいでしょうから全体像を見てみます。
第1期工事として、上流部の第3立坑から第1立坑までの地下河川1.2キロと1万立方メートルの地下調節池を平成16年8月に供用開始しました。
地下河川の第2期工事による下流部の第1立坑から排水立坑までの1.3キロがまだ無かったためか、残念ながら17年9月には床上床下浸水48戸の被害が発生してしまったようです。

↑この第3流入立坑よりも手前、つまり上流側はさすがに川幅は広くなっています。
平成24年には第2期工事の第1立坑から排出立坑までも含めて、120億円の費用が掛かりましたが東川地下河川は完成したものの、平成28年の台風9号では浸水被害はまた発生してしまったようです。
近年の豪雨はさらに激しく降るようになってきていますから、東川に限らず河川の対策を考える方も大変になっています。
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