石田三成による忍城水攻め時に陣のあったところからの眺めとその時に築かれた石田堤
戦国時代末期、豊臣秀吉は関東地方に勢力を持つ小田原北条氏と戦うことで関東を平定して、天下統一することを目指していました。
小田原城の支城であり、行田市にある成田氏の忍城への攻撃を石田三成が命じられました。
↑石田三成は、同じく行田市にある埼玉古墳群の丸墓山古墳に本陣を構え、忍城付近を眺め、その地形から水攻めをすることを決めたと言われていました。
しかし、実際には石田三成が考えたというよりも、豊臣秀吉の強い意向により水攻めは行われたようです。
↑丸墓山古墳は高さ19メートルありますから、確かに忍城周辺の地形はよく見ることが出来ます。
忍城を取り囲むように堤を築いて、利根川、荒川の水を引き込み水攻めをしようとしたものでした。
天正18年(1590)に石田三成らは城を包囲し水攻めをすることとし、そのために築いた堤は後に「石田堤」と言われています。
↑丸墓山古墳古墳から南へ向かう道も石田堤の一部とのことです。
全長28キロメートルに及ぶ堤をわずか一週間で作り上げたと言われています。
↑古墳への通路となっているため、あまり堤の面影はありません。
当時、堤が完成し、利根川や荒川の水を引き入れましたが、地形的に忍城や城下町よりも現在の下忍や堤根方面に水が溜まってしまいました。
遂には堤が決壊し、水攻めは失敗に終わりました。
↑2.5キロメートルほど南にある行田市堤根には、この石田堤が残されています。
ここは行田市により、「石田堤歴史の広場」として駐車場と広場が整備されています。
ここの堤は延長282メートルあり、埼玉県指定史跡にもなっています。
↑江戸時代になってからは石田堤の上には黒松が植えられて、「石田堤の並木」として行田市天然記念物に指定されています。
水攻めのために築いたという石田堤は、実際には自然堤防や微高地を巧みにつなぎ合わせたものと思われ、現在残っているこの堤も、自然堤防上に1~2メートル程盛土をしたものです。
その後、役割を終えた石田堤は次第に取り崩されていきました。
それを憂いた幕末の堤根村の名主増田五左衛門は、慶応2年(1866)に「石田堤碑」を建立し、後世に残そうとしました。
そのことにより、この周辺の282メートルは残されています。
この辺りは行田市南端の鴻巣市との境のところで、現在では新忍川の流れが境界となっています。
↑その市境付近から行田市方向を見ると、標識はあるもののいい雰囲気です。
土木遺産と書かれた案内板も気になりますし、鴻巣市側にも少し石田堤があり、史跡公園として整備されているようです。
また、堤が決壊したところでもあるようなので、引き続き見ていきたいと思います。
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