八ッ場ダムが完成したら水没してしまう前の長野原町の様子を見に行く
八ッ場ダムというと、民主党政権当時の平成21年9月に前原国土交通大臣が建設中止を表明しましたが、その後工事は進められ、平成31年度には完成する見込みとなっています。
これまでいくつかのダムを見に行きましたが、当然ながら湖面に水没してしまった町や村の様子を見ることはできません。
首都圏では唯一のダム工事が行われている現場を見るとともに、現在の様子を確認しに行きました。
↑特急草津1号の終着駅である長野原草津口駅で下車すると、駅の左隣りに「長野原・草津・六合ステーション」という地域振興施設があります。
ここの2階が「やんばツアーズ」という八ッ場ダム工事現場見学会の集合場所となっています。
1階には土産販売や軽食コーナーがありますので、まずは山菜そば550円で昼食、500円以上の飲食には小さなおこわおにぎりがつきます。
↑駅前には吾妻川が流れており、八ッ場ダムはここより8kmほど下流に建設されますが、見ているこの少し上流まで湖面になるそうです。
そのため工事により護岸整備されていますが、さすがにこの辺りは湖幅も狭いようで、都内に流れる中小河川でのゲリラ豪雨対策を少し大規模にした河川改修工事後というイメージです。
この「長野原駅前大橋」から、今度は下流側を見てみます。
↑左の駅に停まっている特急草津号の上野方面にはJR吾妻線のアーチ橋があり、右には国道145号線長野原バイパスの2つのアーチのある「長野原めがね橋」もあり、美しいです。
やはりダム関連事業が進んでおり、既に風景は大きく変わっているようです。
JR吾妻線もあの橋の手前は10kmほどトンネルばかりの車窓でしたが、路線が水没地区にあったため付替で移設されたためだったようです。
↑やんばツアーズのマイクロバスでは、最初の4kmほどの距離は参加者は数人しかしませんでしたが、この不動大橋左岸にある「道の駅八ッ場ふるさと館」から参加する人が大部分だったようで、ここからは20人の座席は満席でした。
国土交通省主催のこの現場見学会は大人気で、11月まで予約がいっぱいのようです。
この「不動大橋」は湖面2号橋とも言われるものですが、長さ590m、高さ80mでダム湖に架かる橋としては一番長いものになります。
正面には原石山というダムのコンクリートの骨材となる石をとるところがあります。
↑不動大橋の上からダムのできる下流側を見ています。
ダムが完成したらここからの景色は見えなくなってしまいます。
左下に半円形にあるのは、コンクリートの骨材の石を工事現場に運ぶベルトコンベアです。
右奥に見えているのは、湖面1号橋という「八ッ場大橋」で、ダムはさらに向こう側ですから、ダムという事業のスケールの大きさと影響の大きさを感じます。
↑その八ッ場大橋の右岸にはプレハブがいくつもありますが、工事関係者の住居、いわゆる飯場です。
そのうち手前の1階建てのものが「なるほど!やんば資料館」で、ダムについての解説やジオラマなどがあります。
そもそも、ここに来るために下調べるするまでは、八ッ場ダムがどこに造られているのか知りませんでしたが、ここの床には位置を示す地図がありました。
利根川水系にはダムが多数あり、群馬県にかなり集中していますが、北から流れてくる利根川に対して、西から東に流れてきて合流する吾妻川には、水質改善のための品木ダムという特殊な例を除けば、一般的にいうダムがありませんでした。
昭和22年9月に加須市で利根川が決壊して多くの洪水被害を出した「カスリーン台風」後、昭和24年に利根川改修改定計画が作られ、平成4年・7年に長野原町・吾妻町と基本協定が締結されました。
さらに約30年後の平成26年8月に、ようやく八ッ場ダム本体工事契約が締結され、工事が行われていますから、今年はカスリーン台風から数えて70年になるといいます。
↑ジオラマで見ると位置関係がわかります(クリックすれば拡大します)が、手前が八ッ場ダムで、上流側に八ッ場大橋、不動大橋、丸岩大橋と斜めに架かっています。
一番奥に長野原草津口駅前のアーチ橋があります。
↓実際に見た順路と違いますが、その八ッ場大橋から上流側を見た様子です。
八ッ場大橋は長さ494m、高さ80mでダム湖に架かる橋としては2番目の長さの湖面1号橋です。
ここから見えるところも完全に水没するところです。
次は上流の左岸側、不動大橋手前の道の駅辺りから見た景色です。
この不動大橋の右岸側には落差90mの不動の滝があるのですが、写真ではちょっと見えません。
さらに上流の丸岩大橋から下流側を見ると、これまで使われていた橋が見えました。
渡っている丸岩大橋は、長さ442m、高さ70mの湖面3号橋です。
橋の真下なので写真は撮れませんでしたが、橋脚がY字形をしているということで、「やんば」の頭文字「Y」なのか思いきや、水の流れを考慮してそうしたとのことだそうです。
↑なるほど!やんば資料館での説明の後、バスで少し移動後降りると、いよいよダム本体工事現場が見えてきます。
先程の石を運ぶベルトコンベアはこんなところまで繋がっています。
恐縮ですが、ちょっと長くなって来たので工事現場の様子は次回に続きます。
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