関東地方が水不足というので相模ダムの水量を見に行ったが筋違いだった
関東地方の水不足は深刻な状況にあるといいます。
大規模なダムというと大抵は山奥の交通不便なところにあるものですが、電車で気軽に行けるところに相模ダムがあります。
JR中央線相模湖駅から歩いてすぐです。
高尾駅までは電車の本数も多いのですが、一駅先の相模湖駅まで行く電車は一気に少なくなります。
↑観光地の雰囲気ですが、雨交じりの蒸し暑い日で、人影はまばらです。
しかし、水量は十分にあるように見受けられます。
↑山に雲がかかる景色は幻想的なものです。
対岸に渡り津久井湖方面に向かう県道の相模湖大橋から200mほど下流側に、相模ダムがあります。
相模ダムによって相模湖ができたということになります。
相模川は富士五湖の一つである山中湖を源泉とし、山梨県から神奈川県にかけて109kmに渡って流れる神奈川県最大の1級河川で、相模ダムの歴史は古く、1938年(昭和13年)に計画されたものです。
戦中、戦後を乗り越えて、完成は1947年(昭和22年)だったといいます。
東京都八王子市から高尾山のある小仏トンネルを越えると、山梨県かと思いますが、ここは旧相模湖町、現在は相模原市緑区で神奈川県です。
堤高58.4m、堤頂長196mの重力式コンクリートダムで、貯水量は6320万立方メートルです。
我が国最初の河川の総合開発事業で、また神奈川県が全国に先駆けて行った広域的な水源開発事業として、京浜工業地帯の発展や人口増加による水供給増に対応してきました。
↑天端は自動車は通れませんが、歩いてなら通行することが可能となっています。
古いダムなので観光用には造られていませんから、宮ヶ瀬ダムのようなインクラインやエレベーターはありません。
下を覗き込むと、やはり怖いです。
貯水量は豊富でしたが放流はしておらず、チョロチョロと水が流れ出ているだけでした。
このダムは発電にも利用されており、相模発電所があり31000kwの発電能力があります。
また、下流で河川として必要な水量や水道用水に必要な水量を確保する役割も果たしています。
さらに、見てまわりましょう。
ダムのすぐ近くには、県立相模湖交流センターがあり、その2階にある「ともしび喫茶青林檎」に立ち寄りました。
ここには、ダムカレーがありました。
ダムに見立てたご飯でダム湖のカレーを堰き止めたカレーライスを、各地のダム近くで食べられるというものです。
公共施設の中にあるためか、サラダ、味噌汁付きで500円と、観光地価格でなくお手頃価格です。
さほど空腹でも無いのに思わず注文してしまいました。
この建物内には相模湖記念館というダムPRのためのコーナーもあります。
↑カメラが自動で露出補正してしまったので分かりづらいですが、かなり暗いです。
各モニターの画面はついているものの、天井の明かりが節電のためか消されており、さらに空調は消されているので、暑くてあまり見ることができませんでした。
なお、この建物の1階受付では相模ダムのダムカードをもらえます。
すぐ近くには、相模ダム管理事務所があり、こちらは平日のみですがダムカードをもらうことができます。
↑ところで、相模ダムを内側からは見てきましたが、ダムを外側から見てみたいものです。
事務所で聞いてみると、しばらく歩けば国道20号線から見られるスポットがあるといいます。
けっこう遠いと言われましたが、歩いてみると意外にも近いところでした。
ただし、もともと天気が悪い上に、ちょうど水面近くに靄がかかってしまい、あまり期待通りの景色は見られませんでした。
最後になりましたが、関東地方の水不足とこの大量な相模ダムの水量とは関係ないことがわかりました。
よく関東地方のニュースで1都6県という言葉を聞きますが、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県のことです。
しかし、水不足は1都5県の問題なのです。
↑神奈川県HPによると、「現在のところ水不足の心配はありません」と書かれており、相模湖の貯水率は78%で、県全体では83%あります。
神奈川県以外の1都5県では、多くの水を利根川水系に依存していますが、神奈川県は関東地方からいわば独立しており、相模川と酒匂川から水が供給されているのです。
↑東京都HPによると、利根川水系の貯水率は49%で、昨年の同じ時期の89%と比べてみると、本当に1都5県の水不足は深刻なようです。
神奈川県は関係ないということでちょっと羨ましいですが、でも、逆の場合も起こりうるということです。
平成6年や8年の渇水期よりも深刻といいますから、関東北部に雨が降ることを祈ります。
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