揚水式発電はエネルギーの無駄遣いなのかと城山湖の325mからの眺め
津久井湖記念館で、近くにある本沢ダムも事務所に行けばダムカードを配布していると聞いたので、簡単な地図をもらって、津久井湖から3kmほどの距離にある城山湖を車で目指します。
交差点を一か所間違えなければいいという簡単なルートです。
行ってみるとかなりの急坂で、自転車で来なくて良かった、なんて思ってしまいました。
↑途中の景色を見ても、結構高いところまで来ており、橋本の市街地が見渡せます。
この道は曲がりくねった坂道で、走り屋さんが好きそうな道なので、バイク(自転車じゃなくてオートバイ)は通行禁止です。
城山湖コミュニティ広場の駐車場まで来ましたが、ダムカードを配布していそうな事務所が見当たりません。
発電所の入口とその横に17時には閉まるというゲートがあるのですが、入っていいのか迷います。
そのゲートから入っていっても他に建物は見当たらないので、「事務所」と言っていたのは、この城山発電所にある発電総合制御所のようです。
少し戻り、発電所の敷地内に入り、その建物の2階に行くと、確かに本沢ダムのダムカードをもらえました。
11月からダムカードを集め始めて、これで5枚目です。
ここから下の方を見てみると、はるか遠方に津久井湖が見えます。
後から知ったのですが、標高280mの城山湖と標高127mの津久井湖は、上池と下池の関係になっており、この城山発電所は1.5kmの水路で結ばれた揚水式発電所となっています。
ここにある本沢ダムと城山ダムも、ともに昭和40年に造られたもので、2つの湖とも人造湖です。
揚水式発電とは、水を上から下に流して発電するのは普通の水力発電所と同じですが、夜間に下池から上池に水を汲み上げ、それをまた上から下に流して発電する方式です。
これを聞くと、単なるエネルギーの無駄遣いをしているような気がします。
でも、電気は蓄えておくことができないから、夏の昼間のピーク時に合わせた発電設備が必要だといいます。
このピークに合わせて、上池から下池に水を流し発電し、夜間の電力需要が少ない時に水を戻しているとのことです。
同じ電力量を創出と消費しているわけではなく、汲み上げるのに使われる消費電力は4割程度とのことです。
つまり、この二つのダムがセットとなり、蓄電池となっているということです。
電気は蓄えておくことができないということですから、これは壮大な無駄遣いではないようです。
そして、この本沢ダムの展望台は標高325mもあり、とてもいい景色が見られます。
北から東の方角が遠くまで見渡せます。
12月に行った景色の良かった宮ヶ瀬ダムの天端が標高290m、そこからその日は見ることはできなかった横浜ランドマークタワーの高さが296mということから考えると、ここが如何に高いかがわかります。
東京都心の超高層ビルまで見ることが出来ます。
水面近くに行きたかったのですが、下りていく階段は湖の水位が変動するため立入禁止となっていました。
調べるまでは、そんなに水位が変動しないだろうと思っていましたが、揚水式発電の仕組みを知ってみると、確かに水位は大きく変動することが理解できました
本沢ダムは、わが国初の大規模な純揚水式発電所である城山発電所の上池として建設されたもので、当時あまり世界にも例のないもので、湖に28mもの水位差があり、それをわずか5~6時間で繰り返せるよう建設されています。
また、ここは神奈川県が設置、管理していますが、国ではなく地方自治体が管理する揚水式発電というのも非常に珍しいそうです。
↑北東の方角を見ると、高尾から八王子方面が見渡せますが、本沢ダムはダムの下方といえる東の方角を見ても、水の流れていく川が見当たりません。
写真の手前側が城山発電所や津久井湖になっており、このダムの水は管を通して手前方向に流れます。
堤体から放流するところはありません。

↑北に向けて吐水口が奥にありますが、基本的には使われていないようです。
あの少し先は都県境ですが、この本沢ダムは境川のダムということになっています。
境川とは、その名の通り、東京都と神奈川県境を流れている川ですが、境川の上流端は、この本沢ダムでなく、町田市となっています。
本沢ダムは中央土質遮水型ロックフィルダムですが、土でできたアースダムのように見えます。
貯水量は本沢ダム393万立方メートル、城山ダム6230万平方メートルと全然規模は違うようですが、この本沢ダムの堤高は73m、堤頂長は234mもあり、城山ダムの堤高75m、堤頂長260mと大差はありません。
聞いたことのないダムでしたが、来てみて良かったです。
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