隅田川の橋めぐりを勝鬨橋から永代橋まで
隅田川には数多くの橋が架けられており、それぞれ歴史もあり、特徴を持った形をしています。
それを下流から見ていきます。
まずは、昭和15年(1940年)に建設された「勝鬨橋」です。

橋長246mのシカゴ式双葉跳開橋で、両側は鋼ソリッドリブサイドアーチ橋です。
隅田川橋梁としては、永代橋、清洲橋とともに、国の重要文化財(建造物)となっています。
船が通るとき、真ん中が開くようになっており、1日に5~7回、20分ずつ開いている時期もありましたが、昭和45年には交通量の増加により、開かずの橋となってしまいました。

双葉式で、二つの可動葉がそれぞれ跳開するようになっており、片方だけの開閉もできたようです。
跳開の時のため、歩道にも信号機があります。

右岸(西側)の橋のたもとには、変電所の建物を利用した「かちどき橋の資料館」があり、模型や資料を入場無料で見られます。
この隅田川には河川テラスが整備されており、川沿いを歩くことができます。
ただし、自転車は通行禁止なので、左岸(東側)を歩いていきました。
途中、いくつもの運河があり、そこには水門があるため、迂回することとなります。
続いては、昭和39年(1964年)に建設された「佃大橋」です。

橋長476.3mの3径間連続鋼床版箱桁橋です。
橋は、文字通り、3つの部分からなる鋼の箱桁の橋で、あまり面白味はありません。
しかし、佃は、再開発により建てられた超高層マンションと古い家々が共存している面白いというか不思議な街並みです。

ここには平成6年には「中央大橋」が架橋されました。

全長210.7mの2径間連続鋼斜張橋です。
斜張橋というのは、目にも美しいものです。
そして、この佃の辺りで、隅田川は晴海運河と分岐します。

↑奥から左に向かって流れるのが隅田川で、右の方が晴海運河です。
しかし、先に向かうため、右に向かって歩いていくと、橋のたもとにも、隅田川との表示があります。
平成12年に架け替えられた「相生橋」です。

橋長149.1mの3径間連続ブラットトラス橋で、元の橋は歴史が古く、明治36年(1903年)に架けられ、さらに関東大震災の復興時にも架け替えられたようです。
この橋までは、隅田川橋梁とされているようです。
さらに、左岸を進むと、国の重要文化財(建造物)の一つである「永代橋」です。

関東大震災後の帝都復興事業の一環として、大正15年(1926年)に建設されました。
橋長184.7mで、形式は下路式3径間の鋼バランスド・タイドアーチ橋です。
建設当初は、東京を代表する河川である隅田川に架かる第一の橋梁であったため、「帝都の門」として、震災復興事業の中でも、最も力を入れて設計、施工されました。

ドイツのライン川に架かる橋をモデルとして、太い主桁は強い存在感を持ち、全体として重量感ある意匠となっています。
実は、この橋では間もなく長寿命化工事が始まるというので、工事前の様子を見たいと思い、急いで来ました。
国指定重要文化財の工事のため、都としては検討委員会を立ち上げ、最適な工法を検討してきたようです。
支承(ししょう)という、橋桁を支える部分の補強が必要のようです。

右岸に渡って見てみましたが、この支承の古い部材を取り換えるのでなく、これをそのまま残したうえで、横に新たな支承を作って強度を増すそうです。
形も類似のものとし、原材料も同じ鋳鉄製とします。
こうして、重要文化財があまり形を変えずに長く残されるのは、すばらしいことです。
隅田川の橋梁は、様々な形式があり「橋の博物館」ともいわれているようですが、いくつか見ただけでも、それぞれ全然形も違い面白かったので、この続きも見に、また来てみたいと思います。
7kmほどの徒歩の旅でしたが、自転車のいない川沿いの道を歩くのも、たまにはいいものです。
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