都市再生の走りとしての南青山一丁目団地建替プロジェクト
再開発好き、図書館好きとしては、前々から行ってみようと思っていたのに機会が無かったところ、先日、所用があったためついに行くことができました。
青山一丁目の交差点のすぐ近くの「南青山一丁目団地建替プロジェクト」によって建てられた建物です。
↓交差点のホンダ本社の辺りから見ていますが、中央に見える高い建物が見に行ったもので、左は、地下鉄駅ともつながっている、オフィスビルの青山ツインタワーです。
現在のように都心回帰の流れがなっかた十数年前、都心居住を推進するうえで非常に恵まれた立地環境に位置する都営南青山一丁目団地の建替えがけいかくされていました。
そこで、東京都として初めて、民間事業者に70年の定期借地契約で6784㎡の敷地を賃貸する、都有地再生に初めて民間の活力を導入するPFI的手法による事業のモデルケースが行われました。
都営住宅、公益施設、民間施設等からなる複合施設を一体的に整備・運営させるという計画が、2001年(平成13年)に公表されました。
2000年のITバブル崩壊後で、東京も日本もなんとかしないとダメだということで、「都市再生」という言葉や機運が高まった時期でした。
国の都市再生本部の「都市再生プロジェクト」として、民間都市再生事業第一号の認定を受けています。
2002年(平成14年)にコンペにより、三井不動産を幹事とするグループ(大成建設、伊藤忠商事)が選定され、「南青山アパートメント株式会社」が事業主体となり、2棟の建物が2004年(平成16年)に着工、2007年(平成19年)竣工しました。
敷地北側のN棟は46階建ての超高層タワー(N棟)で、賃貸集合住宅、商業・業務施設などが入っています。
メインは、パークアクシス青山一丁目タワーという379戸の賃貸高級マンションです。
入口にはドアマンらしき人もいて、中の様子を見ることはできませんでした。
さすがにセキュリティは万全です。
6階までの部分は、別の場所に入口があり、1階にスーパー(まいばすけっと)、3階には港区立赤坂図書館、4階には国際医療福祉大学院大学などが入っています。
ということは、港区は図書館のために、この超高層ビルを賃貸で借りているのか、だったら賃料高そうだけど…と思い、しくみや権利関係を調べてみました。
事業手法は、
① 東京都から事業者は定期借地で敷地を借り受け、事業者が複合施設全体を建設する。
② 複合施設完成後、東京都は都営住宅を、港区は保育園・図書館を、グループホーム運営主体はグループホームを、定期借地権付きで買い取り、運営する。
③ 民間施設(賃貸集合住宅、商業・業務施設等、都市活動支援施設、駐車場等)は事業者が賃貸事業用として運営する。
④ 事業期間終了後、建物所有者は敷地を現状回復し、東京都へ返還する。
ということで、都有地でありながら、東京都も都営住宅を買い取るしくみには驚きました。
↑敷地南側に、都営住宅150戸を中心に、公益施設(保育園)とグループホームも入った、14階建ての高層棟(S棟)があります。
まさか、青山一丁目の駅前で、いかにも昭和時代の団地っていうようなものは建てないでしょうけれど、思っていた以上に立派な建物です。
こちらも高級マンションとして貸しても、高く貸せそうです。
この敷地のすぐ横には、昔ながらの都営住宅があります。
壁に大きく、都営南青山一丁目アパートと書かれているのがいいです。
↑右は、建替え後の敷地に建つ、超高層46階建てのN棟です。
こちらの都営住宅も、どうして同時に建替えなかったのか不思議に思います。
おそらく、一階に店舗があるので、その店舗部分の権利を既に売却してしまっているため、なかなか建替の調整がつかないのではないでしょうか。
都営住宅の案内図を見てみると、この1階に店舗のある都営住宅も、S棟にある新しい都営住宅も、同じ都営南青山一丁目アパートのようです。
しかし、建設時期が全く違うため、計画は全然関係ないのでしょう、新しい方は17号棟、古い方は6号棟です。
何も書かれていない部分には、46階建ての建物があります。
右端にある別名称の都営住宅の敷地は、更地になって工事中でした。
↑N棟(左)とS棟(右)の間のオープンスペースから、古い方の6号棟を見ると、不思議な風景です。
いったい、どこにいるのだろうという気分になります。
最近では、オフィスも住宅も含め、再開発がそこらじゅうで行われていますが、この建物が計画されている頃は、こんな時代が来るなんて夢にも思いもしませんでした。
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