大手町で温泉まで湧き出て進む連鎖型再開発
現在、丸の内や大手町では、数多くの超高層ビルが立ち並び、さらに建替え計画も進められています。
しばらく前には、大手町には空地がなく、ビルの建て替えができないため、汐留や品川などの大規模開発によるオフィスビルに企業が移転してしまい、東京の中心街が寂れてしまうことが危惧されていました。
↓この日本経済新聞社などの移転の頃から、再び活気が戻ってきたような気がします。
↑南西から見て、左は以前からあった丸の内消防署、そして新しく移転して建替えた、順に日経ビル、JAビル、経団連会館です。
この3つのビルは、元々、ここより東のブロックにありましたが、国の大手町合同庁舎1号館、2号館立ち退きによって処分された跡地に、新しい超高層ビルとして建設されました。
小泉内閣の頃の平成14年に、この辺りの地区は都市再生緊急整備地域に指定され、平成17年にはUR都市再生機構がこの土地1.3haを取得し、土地区画整理事業、第一種市街地再開発事業が行われ、平成21年に竣工しました。
これらの建物は低層階ではつながっており、日経ビル31階、JAビル37階、経団連会館23階となっています。
↑一番低いといっても23階建てですから、逆に北東から見上げてみれば、やはり大きい。
それでは、この3つのビルの跡地1.4haはどうなったかというと、大手町フィナンシャルシティとして、平成24年10月竣工しています。
↓左のノースタワーは30階建てで、日本政策金融公庫(日本公庫)などが入っており、右のサウスタワーは34階建てで、日本政策投資銀行(DBJ)などが入っています。
政府系金融機関の再編により、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫は日本政策金融公庫に、日本開発銀行、北海道東北開発公庫は日本政策投資銀行になっています。
この土地のすぐ西に以前は、公庫ビル、新公庫ビルや日本政策投資銀行(旧日本開発銀行)がありましたが、解体され、新たな工事現場となっています。↑
つまり、この移転により、また新たな再開発の種地が生み出されたことになります。
この第2次開発では、URが代表施行者となっていますが、三菱地所も共同施行者になっており、サウスタワーの一部は三菱地所による賃貸オフィスとなっています。
そのために、三菱地所も次への種地を提供しています。
↑この大手町フィナンシャルシティのすぐ東のブロックにある、三菱総合研究所ビル跡地です。
タイムライフビルといった方が、古い人間である私にはわかりやすいですが、ここはまだ駐車場として暫定活用されています。
↓公庫ビル、新公庫ビル、日本政策投資銀行の跡地では、次の第3次再開発事業の工事が行われています。
オフィスの大手町としては予想外に、温泉を掘っているようです。
この1.1haの施行者は三菱地所で、敷地の南側は、18階建ての宿泊施設棟となり、外国人ビジネス来訪者向けの国際水準の「おもてなし」をする日本旅館として、星野リゾートが運営します。
日本旅館のおもてなしといえば当然となる、温泉もあります。
平成26年7月には深度1500mの掘削により温泉が湧出し、分析の結果、温泉と認定され、無事「大手町温泉」と命名もされたようです。
↓敷地北側の31階建てとなるオフィス棟の工事は行われていますが、その北側の空間(写真の手前の左寄り)で掘削したようです。
この温泉は、宿泊施設で利用されるのはもちろんのこと、オフィス棟のフィットネス施設でも利用されるようですし災害時には災害活動要員にも臨時開放するとされています。
オフィス棟は、フロア内に全く柱のない4200㎡の空間を確保できる、大手町では最大のオフィス空間となるようです。
話が、第3次までくると、全体像がわからなくなってきますが、URのホームページの説明によると、⑦の段階まで来ています。
こうして順次空いた空間に移転していきます。
第3次再開発事業の施行者は三菱地所で、新たに土地区画整理事業地区に追加された「常盤橋地区」の日本ビル敷地の一部を種地と入れ替えることで参画しています。
↓JRのガードをくぐった東側にある、昔ながらのオフィスビルです。
このブロックには日本ビルの他、朝日生命ビル、JXビルなどもあります。
JRの西側が大手町で、東側は日本橋だというイメージがありましたが、ここは千代田区大手町でした。
ということは、次はこの辺りが種地ということになります。
ここは東京駅八重洲北口の目の前です。
↑丸の内トラストタワーやホテルメトロポリタン丸の内もすぐそこです。
2020年に向けて、東京のまちはさらに変化していくのでしょう。
でも、ほんとうにバブルじゃないのか心配です…
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